書名)武器を拾いながら走れ『エフェクチュエーション(吉田満梨・中村龍太 著)』
起業したい。でも最初に何をすればいいのか分からない人も多いと思う。そんな中、最近注目されているのがエフェクチュエーションという考え方だ。これはノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンの教え子のサラス・サラスバシーが提唱している概念で、
「自らの資源をもとにまずは行動を起こすこと」
を勧める考え方である。
この考え方と対極にあるのが、
「最初に目的や計画を立て、その後それに必要な行動を取る」という考え形で、コーゼーションと呼ぶ。起業や新規事業の際に通常思い浮かべる考え方かもしれない。
例えば起業の際に、コーゼーションと対比してエフェクチュエーションが有利な点は、「手元にあるいろいろなものをリソース化」でき、「偶然をチャンスに変えることができる」点だ。
コーゼーションの場合、立てた目標や計画とそれに従った行動以外は、ムダと判断されたり切り捨てられたりするが、状況の不確実性が極まって目標や計画が頓挫した場合、取れる行動がほとんどなくなってしまう。
一方、エフェクチュエーションの場合、スキルや財産、人脈、交流会での出会いなど、色々なモノやコトをリソース化して行動に結びつけていくので不確実性や危機ですら行動やチャンスに結びつけやすい。
そうして行動しているうちに自ずから進むべき行動や計画や目標が浮かび上がってくるかもしれないとう、コーゼーションとはプロセスの前後が逆転した発想なのである。
起業と言わず、日常を、キャリアを、人生を「ちょっとだけでも変えたい」という人にもオススメの考え方かもしれない。ちなみに、小さな変化は大きな変化を呼びやすい。